2010年12月29日水曜日

Vancouver 3rd day

あー,酔った.といっても酒にではない.そして乗り物でもない.かつて大学一年生向けの船上実習でディベート講師をしていたが,小さな練習船の激しい揺れに学生たちがばたばた倒れる中,平気で食事ができたほどだ.そんな私がなんとバンクーバーで「橋酔い」したのだ.「乗り物酔い」のように一般化するなら,「構造物酔い」とでもなろうか.
今朝は6時半というしごくまっとうな時間に起床.家族は7時過ぎまで寝ていた.これで時差ぼけ解消かと一家で喜ぶ.そしてなんと今日は晴れ.この時期は雨ばかりと聞いていたので,今日は朝から吉兆だ.ホテルのビュッフェの朝食をすませ,いざ出発.目指すはキツラノという地区.ここは雑貨や民芸品を扱う小さな店が集まっていて,妻と娘はもちろんショッピング,男二人はこの地区のはずれ,English Bayに面するMuseum of Bancouver(通称"MOV")へ.そして昼にGranvile Islandにあるマーケットで落ち合う予定.
キツラノはホテルのあるダウンタウンから巨大な橋Burrard BridgeでEnglish Bayを超えて行く.巨大な橋は二本あり,一本(Burrard Bridge)はキツラノへ,もう一本(Granvile Bridge)はGranvile Islandへつながっている.どちらもホテルからほど近いので,行きと帰りで違う橋を渡ってエクスカーションを楽しもうというわけだ.
しかし,この橋たちはとにかく大きい.どちらも瀬戸大橋級(きっとそれほどではない)だと思うほど.これらの橋は車道,自転車道,歩道がきちんと分かれていて,観光客や地元民がそれぞれのスタイルでこれらの橋を横断していく.そんなちょっとした空中遊覧を家族で楽しむつもりだったのだが,不覚にも父である自分の足がすくむ.決して高所恐怖症ではない.かつて淀川大橋を徒歩で渡った時もまったく恐怖は感じなかった.遊園地では絶叫マシンたちに率先して乗る方だ.
ところが,これらの橋はとにかく怖かった.他の家族の者たちはキャーキャーわいわい言いながら渡っているのに,自分はできるだけ車道寄りの方を歩き,しかも家族に自分が怖がっていることを悟られぬよう,緊張しながら渡った.これらの橋はまがりなりにも湾を越えるのでかなり巨大で,高度も相当なもの.またこの橋は淀川大橋とは異なりかなり湾曲している.そして何よりもぼろい.小石混じりのコンクリートでできた欄干は腰のあたりまでしかなく,ところどころかけている.そして欄干の下部は15cmほどの隙間が空いており,足を引きずられるのではないかという錯覚に襲われる.
そんなわけで,ホテルの部屋に着いてからも,床がかすかに揺れているような感じがして,とても気持ち悪かった.Granvile Islandのマーケットに大きなカニやロブスターが売っていなければ,二度と徒歩で渡ろうとは思わない.
さて,MOVは,バンクーバーの歴史がすべて分かるという常設展と,家庭菜園のススメという特別展をやっていたが,どちらもそれほど興味をひくものではなく,MOVを再訪するためにあの橋を渡ることもないだろう.でも今日は大きなカニしか買ってこなかったので,ロブスターを買いに戻ってこなければならない.家族にそれとなく,乗り物に乗ることを勧めるか.それとも違うマーケットを探すか.あ,そういえばGranvile IslandにあるGranvile Beer工場を見学するのを忘れた!やはりまた訪れねばならぬらしい...

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