2009年4月8日水曜日

実証研究がもたらした成果

社会構成主義は実証研究をすべて否定するわけではない.社会構成主義は,どんな伝統や生き方にも一定の価値と理解の可能性があると考える.ただし実証研究に対する要望が二つ.
  1. 「事実である」ことの放棄.どんな研究でも歴史的・文化的に限定されたもの.最終的な結論(あるいは唯一の正解)を追い求めるのではなく,広い対話への参加を目指すべき.
  2. 「普遍的な事実」の発見という帝国主義的発想を放棄.実証研究がどうすれば社会の役に立つかを考えられるべき.
この二つの放棄により実証研究には以下の可能性がある.
  1. 実証実験に基づく実験は,ある立場を支持する鮮やかな例.実験で得られた結果そのものが,ある理論を証明したり反証したりすることはないが,ある理論の非常に強力な具体例になる.それにより,その理論がもつ重要性や可能性を正しく理解できるようになる.
  2. 実験に基づく発見は,道徳的・政治的問題について深い洞察をもたらす.抽象的な専門用語ばかりの議論は分かりづらいが,実験の結果は,ある問題について「現実の生活に根ざした」言葉で考えることを可能にしてくれる.
  3. 実験に基づく発見は役に立つ予測を可能にする.実証研究を社会に役立つ予測を生み出すために用いることもできる.ただし,予測に成功したからといって,その理論の正しさが証明されるわけではない.予測した結果が社会においてどのような意味をもつのかという議論が必要.

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