2010年2月2日火曜日

馬の尻尾

コントラバスの弓の毛を張り替えました.弓とは,弦楽器の弦を擦って音を出すための道具です.コントラバスの場合,ジャズでは指で直接弦をはじくピッチカートが一般的ですが,クラッシック音楽では弓が欠かせません.私の弓はカーボン製のものと木製のものの二本.後者はかみさんが学生時代に使っていたもので,ヘルナンブコというブラジル原産の豆科の植物の茎が材料なので,正確には「木」ではなく「蔓」です.しかし,このヘルナンブコはまさに見た目は木です.こうしたヘルナンブコやカーボンの棒(弓は英語で"Bow")の両端で束ねた毛を張ってあるのが弦楽器の弓です.ネジがついていて毛の張りの強さを調節します.この毛は馬の尻尾で,この毛に松ヤニを塗り,弦にひっかかりやすくして弾きます.この毛は一年に一度くらい張り替えないと劣化して音が出なくなったり,抜けやすくなったりします.この毛には大きく「白」「黒」の二色があります.「茶」というのもあるようですが,ほとんど見ません.私のカーボン製の弓は柄が黒なので黒い毛を,ヘルナンブコ製のものは柄が茶褐色なので白い毛をはってます.黒い毛や茶色い毛は黒馬や茶馬の毛をそのまま使っています.では白い毛はというと,白馬の毛ではなく,黒や茶の毛を脱色しています.この脱色によって毛の表面がならされるため,白い毛の方が繊細な音が出ます.
さて前置きが長くなりましたが,同じオケのセカンドヴァイオリンにヴァイオリン工房を営んでいる方がいるので,その方に弓の張り替えをお願いしました.カーボンの方は買って以来およそ3年振り,かみさんのは大学時代以来の約15年振りの張り替えです.カーボンの方が戻ってきて,代わりにかみさんのを張り替えてもらっている最中です.戻ってきた弓の毛はふさふさのつやつや.それを見ただけでいい音が出そうな気がしてうきうき.と思いたいのですが,コントラバスの場合,弓を張り替えてすぐには音が出ません.松ヤニを塗ってもすぐにスカーっと上滑りしてしまいます.だからあまり張り替えたくないのです.ここ数日は松ヤニを塗ってはスカーっの繰り返し.こんなアホな楽器やめてやるっ!
一方,ヴァイオリンを習い始めたかみさんは私が大学時代に購入したヴァイオリンを使っています.こちらも購入以来一度も弓の毛を替えていませんでした.ヴァイオリンの先生に薦められた工房に持って行くと,弓の張り替えとともに楽器の調整もしてくれたそうで,確かに以前よりも格段に良い音が出ます.くーっ,またヴァイオリンに転向しようかな,と思った時,ふと思いました.もしかしてヴァイオリンの松ヤニを塗ってみたらいいんちゃう?さっそく塗って弾いてみると,なんと見事に太い音が出ました.馬の尻尾にも松ヤニとの相性があるのだとシリました.そういえば学生時代のオケの顧問がこんなことを言ってました.この方はプロオケのコントラバス奏者だったのですが,コントラバス用の松ヤニを塗った上から薄くチェロ用の松ヤニを塗ると良い音が出るんだよ,と.音楽同様,楽器もなかなか奥が深いものです.

3 件のコメント:

山田今日子 さんのコメント...

りさこさんはヴァイオリンですか♪
かっこいいなぁ( ´艸`)

いやー音楽が出来るっていいですよね!
初期投資は高くついても一生ものですしね。
…あーあと努力も必要かな(私に足りなかったのはこれですね 笑)

今度ご家族でプチコンサート開いてくださいよ★

mitafuri さんのコメント...

今日ちゃんだってできるじゃない!声は最高の楽器って言うからね.
そうそう毎年恒例のパーティ,2月27日(土)あたりはどうですか?その頃には博物館でのパネル発表も終わってるんじゃなかった?
その時にでもホームコンサートしましょう!

山田今日子 さんのコメント...

それは素晴らしいアイディアです(英文直訳っぽい)!
博物館のポスター発表は27-28日なのですが、まぁ初日は展示してるだけですし、次の日もそんなに準備しなくてもなんとかなる(…はず!きっと!!)と思います(*´∀`)b

4月からはみんな社会人ですし、集まれるのも難しくなりそうですしねぇ(´~`;)

コンサート、この機会にぜひ★