これまでの科学に対する考えかた
・科学=西洋文化の頂点・科学者は確固たる事実を手にしている
・科学者の考えは薬やロケットなど現実に何かを生み出している
・科学は社会的な平等と結びつけて考えられてきた
・科学は理性に対して万人がもつ平等な権利のモデル
・科学の世界では観察し合理的推論によって得られた結果を報告する権利を誰でももっている
しかし,一般の人々は専門的知識が乏しいために,科学者が得た「事実」をそのまま受け入れざるを得ない!⇒現代では科学は平等に対する大きな脅威になっている!
社会構成主義による科学的知識の分析
・科学がもつ権威を取り除き,一般の人々も参加できるようにするのが目的
・分析のポイント:科学では科学的な言語,ある特殊な記述や説明の言語が用いられる
・物事には様々な説明の方法・手段があり,世界を写し取るという意味において特権的な言語は存在しない
⇒科学的事実・知識の社会的構成
⇒新しい科学的事実・知識が関係のプロセスから生まれる
科学的事実は科学者コミュニティで決定される
Karl Mannheim,『イデオロギーとユートピア』(1929)
・科学者がどの理論を好むかは経験的ではなく社会的に決定される
・科学者グループは特定の理論をめぐって組織される
・科学者グループ間の対立は理論的不一致にある
・したがって科学的知識は社会的プロセスの産物である
Ludwig Fleck, "Genesis and Development of a Scientific Fact"(1935)
・科学的な実験においては「見える前に知っておかねばならない」⇒知識が科学者集団によって創られる
Peter Winch, "The Idea of a Social Science"(1946)
・社会科学の理論的な主張が現象を構成している
George Gurvitch, "The Social Frameworks of Knowledge"(1966)
・科学的知識は特定の理解の枠組みから生まれ,その枠組みもまた特定の共同体の中で作り出される
Peter Berger and Thomas Luckman,『日常生活の構成』(1966)
・主観性の社会的構成という考え方を発展させる
・科学者の私的体験(見える,聞こえる,触って分かる)が実は社会的なものである
・我々は「もっともらしさの構造」に社会的に適応させられている
・18世紀の発明である時計が現在の我々の生活や我々自身を秩序付けている
Thomas Kuhn,『科学革命の構造』(1962)
・社会的に構成された主観性が中心テーマ
・「科学的知識は常に進歩し,研究(現実に対する仮説検証)を続けることにより真理に塚付ける」という科学についての思いこみに意義を唱える
・科学的な主張や説明も,あるパラダイム(特定の理論,事物に対する考え方,方法論的実践などヴィトゲンシュタインのいう「生活様式」への参加のネットワーク)の中に埋め込まれている
・つまり非常に正確だとされる科学的測定でさえもあるパラダイムから見れば正確であるというに過ぎない
cf.顕微鏡の性質やそれによって何が見えるかを知らなければ顕微鏡は何も教えてくれない
・パラダイムシフトこそが科学における革命だが,それによって真理に近づいているわけではない
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