- 何が存在するのか(「存在論(ontology)」)
- どんな振る舞いが適切か(「倫理(ethics)」)
「存在論」
共通の言語による副産物.「現実(reality)」についての共通理解.コミュニケーションが可能となるためには,お互いが似たような状況で似たような言葉を用いる必要がある.つまり「求心力(centripetal force)」の作用を受けている.
「倫理」
倫理の基盤は現実についての共通理解.人は様々な社会的関係をもっており,より多くの関係に参加すればするほど,ローカルな「現実」がたくさん生まれる.そしてある関係からある関係に移る際に,他の関係もひきずっていく.このことはある関係における「現実」すなわち秩序を脅かす.この脅威を避けるのが「倫理」であり,「救心化」を促進する.
「自己」
自己は共同体の存在論の中に現れる.そして自己には共同体の倫理が伴う.これらが「私」という主体的な行為者という現実を生み出している.
社会的釈明(social vindication):アイデンティティと責任
私たちの行為が矯正(reformation)されることは,組織化された社会に生きること.矯正は秩序を維持するための手段であり,関係における倫理の作用.
関係の多様化に伴い,私たちの関係の中にある暗黙の倫理観(求心的傾向),すなわち秩序は脅かされるようになった.その一方で秩序を回復する手段も生み出され,それが「社会的釈明」.
会話における隣接対(adjoining pair)から見た社会的釈明
- 挨拶−挨拶
- 質問−回答
- 招待−受諾or辞退
- 要求−承諾or拒否
「修復」の二分類
- 「言い訳(excuse)」:自己についてのモダニズム的理解に基づく.主体性が関与していたかどうかが問われる.関係性の中にまだ自分がいることを主張.秩序に挑戦するものではない.
- 「正当化(justification)」:一般に受け入れられている現実に異議を唱える.個人のアイデンティティにとっての問いを,社会的関係についての問いにすり替えている.
対話はどこから力を得ているか?
- 非言語的なシグナル(表情,注視,ジェスチャー,姿勢など)によって,社会的関係における言葉の機能は変わる
- 物質的なコンテクスト(服装,所持物,場所,時間,天候など)も言葉に影響を与えている
- コミュニケーション・メディア(電話,電子メール,スピーカーなど)も言葉に影響する.「メディアはメッセージ」.
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