仏教では、比較できるもの(相対化できるもの)は無限の欲を生み出す、という戒めがあります。私たち凡人はなにかとモノを集めたがりますし、お金もたくさん欲しい、美味しいものを食べたい、楽な生活がしたい、と思っています。これらはすべて「比較できるもの」だからでしょう。
ではなぜ「比較できるもの」は私たちに無限の欲を引き起こしてしまうのでしょう?私は、これは「ゲシュタルト」の為せるところだと思うのです。
ゲシュタルトの基本的な性質の一つに「閉じる」というものがあります。円の一部がちょこっと欠けていても、私たちはちゃんとした円だと認識します。私たちはいろいろなものに対して、閉ざそう、閉ざそうという無意識の意志が働いています。
たとえば、私はムーミン・グッズを集めていますが、新しいグッズを見るとやっぱり欲しくなります。これは、それまで自分が集めたグッズという「まとまり」が、新しいグッズの出現により「開いて」しまうからです。この開いてしまったまとまりを、閉ざそう、閉ざそうとする意識の働きが欲を生み出しています。したがって、比較できるものは無限の欲を生み出すのです。
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